当院は頭痛外来を
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頭痛はよくある症状で日本人の3〜4人に1人は頭痛を感じていると言われています。
頭痛には様々な疾患が含まれており、生命を脅かすくも膜下出血や脳腫瘍などもあれば、片頭痛や緊張性頭痛など、痛みによって日常生活に支障をきたすものもあります。
頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けられ下記のような種類があります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、最も一般的な頭痛の一種であり、慢性的な頭痛の主要な原因とされています。
緊張型頭痛の主な症状には、頭全体にかかる鈍痛や圧迫感が含まれます。痛みは通常両側にあり、持続的で軽度なものから中程度のものまでさまざまです。典型的な特徴は、頭皮や首の筋肉が緊張している感じがすることです。
緊張型頭痛の具体的な原因は完全には理解されていませんが、ストレス、不良姿勢、筋肉の緊張、眼精疲労、不規則な食事、睡眠不足などが関与する可能性があります。
片頭痛
片頭痛は、非常に強い頭痛とともに、その他の症状が現れる神経系の障害性の疾患です。
片頭痛は一般的に局所的な鈍痛から激しい激痛に変わり、通常片側の頭部に発生します。その他の症状には、吐き気、嘔吐、光や音に対する感受性の増加、視覚異常などが含まれることがあります。
片頭痛の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因、神経の興奮性の変化、血管の拡張や収縮の変化が関与していると考えられています。
昨今はエムガルティ、アジョビ、アイモビーグなどの片頭痛予防薬が開発され、高い治療効果が得られています。当院では何れも処方可能です。従来の片頭痛治療薬を使用していても痛みが抑えられない方はご相談ください。
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグについては下記からご覧ください。
群発頭痛
群発頭痛は、非常に強い頭痛が一定期間続き、周期的に発生する神経系の疾患です。この痛みは非常に激しく、通常一方の目の周りに局在します。
群発頭痛の特徴的な症状には、激しい、焼けつくような痛みが一方の目の周りに発生することが挙げられます。これにはしばしば、涙目、鼻水、目の充血、瞳孔の収縮などが伴います。発作はしばしば同じ時間帯に一定期間続き、その後しばらくの間症状がないことが特徴です。
群発頭痛の原因ははっきりしていませんが、神経系や血管系の変化が関与していると考えられています。遺伝的な要因も影響を与える可能性があります。
脳出血・くも膜下出血
脳出血は、脳内の血管が破れ、血液が脳の組織に流れ込む状態を指します。これは重篤な状態であり、速やかな医療処置が必要です。
脳内の動脈や静脈が破れ、血液が脳の組織に漏れ出す状態です。これにはくも膜下出血が含まれ、くも膜下出血は脳とくも膜の間に血液がたまる状態で、通常、くも膜の下にある動脈瘤が破れたり、外傷が原因です。
急性髄膜炎・脳炎
急性髄膜炎は、脳と脊髄を覆う膜である髄膜が炎症を起こす状態を指します。これは通常、感染症が原因で引き起こされ、臨床的な緊急性が高い病態です。髄膜炎は細菌、ウイルス、真菌などのさまざまな病原体によって引き起こされることがあります。
急性髄膜炎の主な症状には、頭痛、発熱、頚部硬直(頭を前後に動かりにくい)、光過敏症(明るい光に敏感)、嘔吐、意識の変化などが含まれます。これらの症状は一般的に急速に進行し、健康な状態から数時間または数日で重症になることがあります。
急性髄膜炎は主に細菌、ウイルス、真菌などの感染症が原因です。最も一般的な原因は細菌性髄膜炎で、特に新生児や免疫機能が低下している人々に影響を与えることがあります。
感染経路は通常、呼吸器系や耳、副鼻腔、皮膚からの感染が原因で、血液を介して脳や脊髄に到達します。ウイルス性髄膜炎は主に感染した個体からの飛沫感染や直接の接触によって広がります。
脳腫瘍
脳腫瘍は、脳内または脳周囲にできる異常な腫れの総称です。これには良性腫瘍(腫瘍細胞が局所的な領域に留まり、他の部分に広がらない)と悪性腫瘍(がん細胞が他の部分に広がる可能性がある)が含まれます。
脳腫瘍の症状は腫瘍の場所、サイズ、種類によって異なります。一般的な症状には頭痛、嘔吐、てんかん、認知機能の変化、感覚異常、筋力低下などが含まれます。これらの症状は、腫瘍が圧迫や周囲の組織への影響を引き起こすことによるものです。
脳腫瘍の原因は複雑で、特定の要因が特定の腫瘍タイプに関連している場合もあります。一般的な原因には、遺伝的な要因、環境要因、放射線曝露、免疫系の異常などが含まれます。
側頭動脈炎
側頭動脈炎は、頭部の側頭動脈周囲の大動脈に炎症が生じる自己免疫性の疾患です。別名で巨細胞性動脈炎とも呼ばれます。これは通常、50歳以上の高齢者で見られ、主に動脈の中膜層に炎症が生じることによって特徴づけられます。
側頭動脈炎の主な症状には、頭痛、頭皮の圧痛、咀嚼時の顎の痛み、視力の低下、頭部や顔の腫れ、発熱、全身倦怠感などが含まれます。特に顎の痛みや頭痛が咀嚼時に強くなることがよく見られます。
側頭動脈炎はしばしば大動脈炎症症候群と関連しており、大動脈弁狭窄症や大動脈瘤の形成など、重篤な合併症を引き起こすことがあります。また、視神経への血流の低下が視力低下や失明を引き起こす可能性があります。
発症には特定のリスク因子が関与している可能性がありますが、具体的な原因はまだ完全には解明されていません。遺伝的な要因や免疫系の異常が関与する可能性があります。
高血圧性脳症
高血圧性脳症は、高血圧が急激に上昇することによって引き起こされる一連の神経学的な症状や脳の機能の異常を指します。これは高血圧が急激に制御されない場合に発生しやすい状態です。
高血圧性脳症の症状は広範で、頭痛、めまい、視覚障害、嘔吐、けいれん、意識障害、混乱などが含まれます。これらの症状は脳の機能が高血圧の影響を受けた結果として生じます。
高血圧性脳症の主な原因は、通常、急激な血圧上昇が根底にあります。これは高血圧が急速に制御されない場合に、脳の自己調節機構が適切に機能しなくなり、脳内の血管が拡張したり浮腫したりすることが関与します。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、硬膜下に血液が蓄積してできる状態であり、通常、外傷や高齢者においてより頻繁に見られることがあります。
慢性硬膜下血腫の症状は徐々に進行し、頭痛、意識障害、認知機能の低下、吐き気、嘔吐、歩行困難などが含まれます。これらの症状は脳の圧迫や機能の障害によるものです。
慢性硬膜下血腫は、頭部外傷、特に軽度の外傷が繰り返されることによって引き起こされることが一般的です。
脳動脈解離
脳動脈解離は、通常、動脈の壁が破れて血液が漏れ出す状態を指します。脳動脈解離は、通常、動脈壁の中の層が互いに剥離することから生じます。これにより、血液が剥離した層に入り込むことがあり、この状態が進行すると、血液が周囲の組織に漏れ出す可能性があります。
脳動脈解離の症状は、頭痛、顔面または首の疼痛、視覚障害、言語障害、片側の強い頭痛、めまいなどが含まれます。これらの症状は解離が進行するにつれて現れ、場合によっては急激に進行することがあります。
脳動脈解離の主な原因は、通常、外傷や動脈の壁に影響を与えるような事象があります。急激な頭部の回転や伸展、振動、頚部の急激な動き、または先天的な組織の弱さが引き金になることがあります。
静脈洞血栓症
静脈洞血栓症は、脳内の静脈洞が血栓で閉塞される状態を指します。静脈洞は脳内の静脈の中で特に重要な部分であり、血液が脳から心臓に戻る経路として機能しています。静脈洞血栓症は比較的まれながら重篤な病態であり、発症すると脳に十分な血液が供給されなくなり、さまざまな症状が現れることがあります。
静脈洞血栓症の症状は多岐にわたり、頭痛、けいれん、意識障害、視覚異常、吐き気、嘔吐、脳圧亢進による症状などが含まれます。これらの症状は血栓が形成された静脈洞とその周辺の脳に影響を及ぼすことにより引き起こされます。
静脈洞血栓症の原因には、血液の凝固異常、頭部外傷、感染症、妊娠や出産、抗凝固療法の中止、特定の炎症性疾患などが含まれます。特に女性、特に妊娠中の女性に発症することがよくあります。
新規片頭痛治療薬
『エムガルティ』
エムガルティ片頭痛の予防または治療に使用される薬剤で、モノクローナル抗体であるガルカネズマブを含んでいます。ガルカネズマブはCalcitonin Gene-Related Peptide(CGRP)とその受容体に対する作用を阻害し、片頭痛の発作を軽減することが期待されます。
エムガルティの効果は個人により異なりますが、一部の患者では片頭痛の頻度や重症度が減少することが報告されています。一般的な副作用には皮膚反応(注射部位の発赤やかゆみなど)が挙げられます。
エムガルティの投与間隔
エムガルティは初回に2本、2ヶ月目から1ヶ月に1本注射をします。
エムガルティの費用(3割負担の場合)
- 1本約12,802.5円
- 初回(2本注射)約25,605円
- 翌月以降(1ヵ月月に1本)約12,802.5円
新規片頭痛治療薬
『アジョビ』
エムガルティと同じく片頭痛治療薬です。
アジョビの投与間隔
2つの投与方法があります。
4週間に1回、1本注射
12週間に1回、3本注射
アジョビの費用(3割負担の場合)
- 1本あたり約11,727円
新規片頭痛治療薬
『アイモビーグ』
アイモビーグは、片頭痛患者に対して特有に設計され、CGRP受容体の阻害を通じて片頭痛の予防を目指す完全なヒトモノクローナル抗体です。治療を開始してから1ヶ月で、月間の片頭痛発作の頻度が減少する傾向が見られました。プラセボ群と比較して、治療を始めて1ヶ月目から有意な差があり、この効果は治療を継続して6ヶ月まで持続しました。
アイモビーグの投与間隔
4週間に1回の間隔で、1回1本を投与します。 投与予定日に投与できなかった場合は、可能な限り速やかに投与を行い、以降はその投与日を起点として4週間に1回の間隔で投与を行います。
アイモビーグの費用(3割負担の場合)
- 1回あたり約11,694円